第2回:【視覚からととのえる】明るさと色彩が心にもたらす魔法

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前回は、単なるバリアフリーを超えた「心と体がととのう」住まいづくりについてお話ししました。今回は、五感の中でも特に私たちの心に大きな影響を与える**「視覚」**に焦点を当てていきます。

「最近、なんだか気分が晴れない」
「家の中にいても、どこか落ち着かない」


そう感じたことはないですか? その原因、住まいの「明るさ」や「色」にあるかもしれません。
照明や壁の色、インテリアのちょっとした工夫で、驚くほど気分が変わり、心身がととのうことがあります。

光の力:窓と照明で住まいを「明るく」ととのえる

太陽の光を浴びると、心が穏やかになったり、活動的になったりすることはありませんか? 私たちの体は、光の影響を大きく受けています。
住まいにおいても、自然光の取り入れ方は、日中の活動を活発にし、精神的な安定に貢献します。

自然光を最大限に活かすヒント

  • 窓の配置と大きさの見直し: 新築や大規模なリフォームなら、窓の配置に配慮した空間計画がたいせつです。

既存の住まいでは窓からの日差しコントロールには少し工夫が必要になります。

カーテンやロールスクリーンなどの使い方で光の入り方を制御していきましょう。
例えば、南向きの窓からは心地よい光を取り入れますが、西向きの窓は遮光カーテンやブラインドを工夫するなど、西日対策が欠かせません。
時間帯や季節に応じた使い分けがたいせつです。

背の高い観葉植物で調整するといった小さな工夫でも、光の通り道はコントロールできます。

  • ミラーや明るい色の活用: 窓から入る光を反射させることも賢い演出です。壁に大きなミラーを置いてみるのも効果的です。

特に窓の反対側の壁に配置すると、部屋全体に光が広がり、視覚的な広がりも感じられます。

また、壁や天井の色を白やアイボリーなどの明るい色にすることで光が反射しやすくなり、部屋全体が明るく開放的な印象になります。

夜を心地よく過ごす照明の選び方

日中の明るさとは異なり、夜の照明は**「心と体をリラックスさせる」**役割を担います。

  • 光の色(色温度)の使い分け: リビングや寝室には、暖かみのある電球色(オレンジがかった光)がおすすめです。

食卓や家族団らんの場には、少し明るめの温白色(電球色と昼白色の中間)が適しています。

逆に、読書や細かい作業をする書斎などでは、集中力を高める昼白色(白い光)が良いですね。

色温度を調整できる調光・調色機能付きの照明があれば、一台で多様なシーンに対応できるため便利です。

  • 多灯分散照明のすすめ: 一つの部屋にシーリングライト(天井照明)一つだけでは、明かりが均一になりがちで、単調な印象を与えます。

シーリングライトの他に、フロアライト、テーブルランプやスタンドライト、間接照明などを複数配置する「多灯分散照明」を取り入れることで、部屋に奥行きが生まれ、光の陰影が心地よい空間を演出します。
必要な場所に必要な明るさを供給でき、全体的に落ち着いた雰囲気を醸し出せます。

  • 調光機能の活用: 照明の明るさを調整できる調光機能は、夜の時間を豊かにします。

食事の際は明るめに、食後は少し照度を落としてリラックスするなど、シーンに合わせて光の量、質をコントロールすることで、心身の切り替えがスムーズになります。

色彩の魔法:壁とインテリアで「気分」をととのえる

色は、私たちの心理に直接働きかけ、気分や感情に大きな影響を与えます。住まいの色彩計画は、毎日を過ごす空間の雰囲気を決定づける重要な要素です。

色が心に与える影響とは?

  • 青系: 集中力を高め、心を落ち着かせる効果があります。寝室や書斎に適しています。
  • 緑系: リラックス効果が高く、安心感を与えます。リビングや寝室に最適です。
  • 黄・オレンジ系: 陽気で明るい気分にさせ、食欲増進効果も期待できます。ダイニングや子ども部屋に適しています。
  • 赤系: 活力を与え、情熱的な気分にさせます。アクセントカラーとして少量使うのがおすすめです。
  • 白・アイボリー系: 清潔感があり、空間を広く見せる効果があります。ベースカラーとして汎用性が高いです。

落ち着きと活気を生む色の組み合わせ

  1. ベースカラー(基調色)の選定: 壁や天井、床などの広い面積を占める色は、部屋全体の印象を決めます。白、アイボリー、ライトグレー、ベージュなど、明るく穏やかな色を選ぶと、落ち着きと開放感のある空間になります。
  2. メインカラー(主役色)の選定: ソファやカーテン、ラグなど、インテリアの中心となる色を選びます。ベースカラーと調和しつつ、ご自身の好きな色や、その部屋で過ごしたい気分に合わせて選びましょう。例えば、落ち着いたリビングにはグリーンやブルー、明るいダイニングにはイエローやオレンジなどです。
  3. アクセントカラー(強調色)の活用: クッション、小物、アート、花瓶などで、メインカラーとは異なる鮮やかな色や、少し濃い色を取り入れることで、空間にメリハリと活気が生まれます。全体の10%程度の面積に抑えるのがおすすめです。

【元工務店社長のアドバイス】小さな一歩で大きな変化を

色彩計画や照明計画は、一見すると難しそうに感じるかもしれません。しかし、全てを一度に変える必要はありません。まずは、リビングのカーテンの色を変えてみる、寝室に間接照明を一つ加えてみる、といった小さな一歩から始めてみましょう。

挑戦する意欲もたいせつです!

私はこれまで多くの家づくりに携わる中で、限られた住空間をいかに快適にできるかを工夫してきました。

間取りなど平面計画に制約がある中、住まい手の皆さんが、ほんの少しの変化で「気分がいい」「過ごしやすい」といった変化を感じられる工夫のたいせつさを実感します。

それはまさに、心が「ととのう」瞬間だと感じます。

専門的な知識が必要な場合は、いつでも私にご相談ください。あなたの「もっと心地よく」を叶えるために、中立な立場で一緒に考えさせていただきます。

まとめ:視覚から始める心地よい暮らし

住まいの「明るさ」「色」は、私たちの心身の健康に深く関わっています。自然光を上手に取り入れ、時間帯や目的に合わせた照明を使い分け、そして心地よいと感じる色を効果的に配置することで、毎日の暮らしは驚くほど豊かになります。

次回は、**「触覚」**に焦点を当て、素材の持つぬくもりや、ストレスなく動ける動線について詳しくお話しします。お楽しみに!

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