こんにちは。さすらいの建築士、ノルです。
夜中にふと目が覚めてしまう。
通りを走るバイクの音に反応する。大きな声の会話は、内容がわかるほどだ。私が今いる部屋は幹線道路に面した3階。だからこそ、外の音がよく聞こえる。音は上に抜ける——建築士として知っていたことを、自分の体で実感する瞬間でもある。
築40数年の建物では仕方ない部分もある。それでも、なんとかならないものか、と思う夜がある。
現場で見てきた「音」の問題
建築士として30年以上、住まいの現場に関わってきました。その中で気づいてきたのは、音の問題に無頓着な施主さんが、意外と多いということです。
こんなリフォーム事例がありました。
築数十年の住宅で、足腰が不自由な高齢の親御さんの部屋を1階に移す大規模リフォームです。デイケアの動線を考えると、道路に面した配置が自然でした。住宅密集地で大型車は通りませんが、バイクの音や通行人の会話がよく響く地域です。
施主さんは外からの音に慣れていたため、音への要望はありませんでした。しかし生活向上のためのリフォームです。建築士として、音対策は当然考えるべきことでした。
採光のために道路側に窓を設けることは避けられません。そこで、ペアガラスの二重窓を高めの位置に1か所設置。外壁や出入り口も、断熱と防音を兼ねた仕様にしました。
住み始めてから、施主さんが気づいてくれました。「外の音が静かになった」と。室内の音が外に漏れにくくなったことも、満足度につながりました。
音は、体にどう影響するのか
静かな環境が体に良い——なんとなくわかっていても、その理由を説明できる人は少ないかもしれません。
騒音は、自律神経に直接影響します。うるさい環境にいると、体は無意識に「戦闘モード(交感神経優位)」に入ります。心拍数が上がり、血圧も上がる。筋肉は緊張し、体は休もうとしない。
眠っている間も、これは起きています。
夜間の騒音は、深い睡眠(ノンレム睡眠)の時間を削ります。浅い眠りが続くと、翌朝の疲労感、日中の集中力の低下、免疫力の低下につながることが知られています。WHO(世界保健機関)も、夜間騒音を「健康リスク」として位置づけています。
「よく眠れない」「なんとなく体がだるい」——その原因が、実は部屋の「音環境」にあることは、少なくありません。
音はどこから入ってくるのか
音対策を考えるには、まず「音の侵入経路」を知ることが大切です。
外からの音が室内に入ってくる主なルートは、大きく3つあります。
① 窓

最も音が入りやすい場所です。壁と比べて薄く、気密性も低いため、外の音の大部分は窓を通じて入ってきます。道路に面した窓、1枚ガラスの古い窓は特に要注意です。
② 壁・天井・床
構造によって差はありますが、築年数の古い木造住宅は、壁の遮音性能が低いことが多い。隣の部屋の音、上下階の足音が気になる場合は、ここが原因です。
③ 隙間

ドアや窓の隙間、換気口、コンセントの裏側——こうした小さな隙間が、音の通り道になっていることがあります。「どこからともなく音が入ってくる」という感覚は、たいていこの隙間が原因です。
今すぐできる音対策3選
大規模なリフォームをしなくても、できることはあります。
① 窓に「もう一枚」加える
最も効果が高いのは、内窓(二重窓)の設置です。既存の窓の内側にもう一枚窓を加えるだけで、遮音性能が大幅に上がります。費用はかかりますが、断熱効果も同時に得られるため、光熱費の削減にもつながります。
賃貸や費用面で難しい場合は、窓に貼る遮音シートや、厚手の遮音カーテンが現実的な選択肢です。
② 隙間をふさぐ
ドアの下部の隙間には、ホームセンターで手に入る隙間テープが有効です。数百円から試せます。換気口には防音カバーを取り付けることで、外からの音の侵入をある程度防げます。
③ 遮音カーテンに替える
窓対策の中で、最も手軽に始められるのが遮音カーテンです。取り付けに工事は不要。今あるカーテンと交換するだけで、外からの音をやわらげる効果が期待できます。

遮音カーテンを選ぶときのポイントは3つ。厚みがあること、床までの丈があること、そして窓の横幅より少し広めのサイズにすること。隙間をなくすことが、遮音効果を最大限に引き出すコツです。
私自身、自宅の寝室に遮音カーテンを導入してから、夜中の車やバイクの音で目が覚める回数が減りました。完全に無音にはなりませんが、「気になるレベル」から「気にならないレベル」に変わるだけで、睡眠の質は変わります。
遮音カーテン、選ぶならこういうものを
市場にはさまざまな遮音カーテンがあります。価格帯も幅広く、何を選べばいいか迷うかもしれません。
まず一つ、正直にお伝えしておきます。
遮音カーテンは、高音域(楽器・ペットの鳴き声・子供の声など)には効果を発揮しやすい一方、車やバイクのエンジン音のような低音・振動音は苦手です。「カーテンを替えれば完全に静かになる」と期待すると、がっかりするかもしれません。
ただ、「気になるレベル」から「気にならないレベル」に変わるだけで、睡眠の質は確実に変わります。私自身がそれを実感しています。完璧を求めず、「一段階静かにする」くらいの気持ちで試してみてください。
選ぶときの4つのチェックポイント
建築士として、遮音カーテンを選ぶなら以下の4点を確認します。
① 「遮音・防音」の表示があるか
「遮光カーテン」は光を遮るもので、遮音とは別物です。似た言葉ですが、まったく違います。必ず「遮音」「防音」と明記されているものを選んでください。
② 生地に厚みがあるか
遮音性能は、生地の厚みと密度に比例します。手に取ったときにずっしりとした重みがあるものが、効果が高い傾向にあります。
③ 丈は床すれすれまであるか
カーテンの下から音は入ります。窓の上から床までをしっかりカバーする丈を選ぶことが大切です。採寸のときは、レールから床までの長さより1〜2cm長めを目安にしてください。
④ 幅は窓より広めにとれるか
左右の隙間も音の通り道です。窓幅の1.5倍程度の幅を確保すると、ヒダが生まれて遮音効果が上がります。
寝室用として私が選ぶなら
以上の条件を踏まえ、寝室用として選ぶなら、遮光1級・防音・洗濯可能の3条件が揃ったものを基準にします。
色は、青系・グレー・ベージュなど落ち着いたトーンがおすすめです。睡眠環境には、視覚的な「静けさ」も影響します。鮮やかな色や派手な柄は、寝室には向きません。
価格は、2枚組で3,000〜5,000円台のものでも十分な性能のものがあります。まずは寝室の窓1か所から試してみることをおすすめします。
参考までに、私が実際にAmazonで選ぶとしたら、この2つが候補になります。
コスパ重視の方へ|まず1か所から試したい方に
Hansleep 遮音カーテン(2枚組)

厚手・1級遮光・断熱・洗濯可。グレーやベージュなど落ち着いた色展開で、寝室に馴染みやすい。「完璧な防音」ではありませんが、高音域のざわつきをやわらげる効果は十分あります。まず試してみたい方に、手が届きやすい価格帯です。
品質・遮音性重視の方へ|しっかり効果を求める方に
カーテンくれない「静 Shizuka」(2枚組)

その名の通り、遮音に特化して設計された日本製カーテンです。形状記憶加工でヒダが美しく、防炎ラベル付きで安心感もあります。色展開も豊富で、寝室の雰囲気を整えながら音環境も改善したい方に向いています。
建築士として一言添えるなら——どちらを選ぶにしても、丈は床すれすれ、幅は窓より広めに設定することを忘れずに。カーテン選びより、サイズ選びの方が、実は遮音効果を左右します。
静かな部屋は、今日から手に入る
音の問題は、目に見えません。だから後回しにされやすい。
でも、夜中に目が覚める、なんとなく眠りが浅い、朝起きても疲れが取れない——そう感じているなら、一度「音環境」を疑ってみてください。
原因が音にあるとわかれば、対策はそれほど難しくありません。隙間をふさぐ、カーテンを替える、窓を二重にする。できることから、一つずつ。
住まいの専門家として断言できます。静かな部屋は、高級品ではありません。少しの工夫で、今日から手に入ります。
まずは寝室のカーテンを見直すことから、始めてみませんか。
さすらいの建築士・ノル

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