はじめに ~ 災害に強く、長く住み継ぐための備え
こんにちは。「ココカラととのえ間専科」の元工務店社長、一級建築士です。
これまでは、心と体を心地よくととのえるための「視覚」や「触覚」についてお話ししてきました。
そして、住まいが私たちにもたらす最も大切なものの一つは、やはり**「安心感」**ではないかと考えます。
近年多発する自然災害や住まいの経年劣化を考えると漠然とした不安を抱いてしまうかもしれません。
「もしもの時、この家は大丈夫だろうか?」
「これからもずっと住み続けられるかな?」
そんな皆さんの声なき声に耳を傾け、今回は「安心感」をととのえるための具体的な備えについてお伝えします。
「わが家は大丈夫?」地震への備えを見直す
日本に住む私たちにとって、地震は常に意識すべき災害です。特に古い木造住宅にお住まいの場合、「耐震性が心配」と感じる方も多いのではないでしょうか。
耐震診断の必要性と費用目安

- なぜ耐震診断が必要なのか?
ご自身の家が、現在の耐震基準にどの程度適合しているかを知ることは、地震への備えの第一歩です。建築基準法は過去に何度か改正されており、特に1981年以前の「旧耐震基準」で建てられた家は現在の基準に満たない可能性があります。
耐震診断では、家の構造や基礎、壁の配置などを専門家が細かく調査し、総合的な耐震性能を数値化してくれます。
自治体の建築課に相談し、大いに活用しましょう。
- 耐震診断の費用目安と補助金:
耐震診断費用は建物の規模や構造によりますが、一般的に木造住宅で10万~30万円程度が目安です。
多くの自治体で耐震診断や耐震改修工事に対する補助金制度を設けているので、お住まいの自治体のホームページなどで確認するか、実際に相談に行ってみることをお勧めします。
補助金を活用しない手はありませんよ。費用負担を抑えながら安心して診断を受けられます。
住まいの地震対策見直しポイント
今すぐできる比較的費用のかからない地震対策があります。耐震診断の結果、補強が必要とされた場合でも、必ずしも大規模な建て替えやリフォームが必要とは限りません。
- 家具の固定と配置の見直し:
これは最も手軽で、かつ非常に効果的な対策です。背の高い家具(タンス、本棚など)はL字金具や突っ張り棒で壁や天井にしっかりと固定しましょう。
重いものは下段に収納するなど、重心を低くすることも重要です。
寝室には倒れやすい家具を置かないことや配置を見直すなど、寝ている間に家具が倒れてこないような工夫もたいへん重要です。
- 窓ガラスの飛散防止:
地震の揺れで窓ガラスが割れると、二次災害につながる危険性があります。ガラス飛散防止フィルムを貼ることはご自身でもできることです。仕上がりにこだわりたいなら専門家に依頼するほうが無難でしょう。
合わせガラスなどガラス自体を取り替えることも専門家に依頼することになりますが安心を手に入れる事ができます。
- 簡易的な補強材の活用:
ホームセンターなどで販売されている、柱と壁の間に入れる「筋交い風」の補強材や、壁の中に後付けできる耐震補強金物など、比較的手軽に導入できるものもあります。専門家と相談しながら、自宅に適したものを検討しましょう。
- 基礎や壁の補強:

本格的な耐震補強工事にはなりますが、家の土台となる基礎部分のひび割れ補修や、壁に「耐力壁」を増設する工事は、家の強度を格段に向上させます。
これらは専門知識が必要なため、必ず信頼できる業者に相談しましょう。
水害・風害から家を守る!知っておきたい対策
近年、集中豪雨や大型台風による被害が増加しています。地震だけでなく、水害や風害への備えも重要です。
雨漏り、浸水リスクの早期発見と予防策
- 屋根と外壁の定期点検:

雨漏りの多くは、屋根材のひび割れやズレ、外壁のクラック(ひび割れ)から発生します。専門業者による定期的な屋根・外壁点検を怠らないことが重要です。特に築10年を超えたら、定期的な診断を検討しましょう。
- 雨樋の清掃と点検:
雨樋に落ち葉やゴミが詰まると、雨水が溢れて外壁を傷めたり、基礎部分に浸水したりする原因になります。定期的に清掃し、破損がないかチェックしましょう。
- 家の周囲の排水状況の確認:
庭や敷地内の排水溝が詰まっていないか、水たまりができていないかを確認しましょう。雨水が適切に排水されることで、床下浸水のリスクを軽減できます。
窓や屋根を守る簡単な工夫

- シャッターや雨戸の活用:
台風接近時には、窓ガラスの飛散防止のため、シャッターや雨戸を閉めることが非常に有効です。設置されていない場合は、検討してみる価値があります。
- 飛来物対策:
強風時には、庭の物干し竿、植木鉢、ゴミ箱など、風で飛ばされやすいものは室内にしまうか、固定しましょう。これらが飛んで窓ガラスを破損させる危険性があります。
- 屋根の点検と補修:
瓦のずれや浮き、屋根材の破損は、強風で吹き飛ぶ原因となります。専門家による定期的な点検で、問題箇所を早期に発見し、補修しておくことが重要です。
長く住み継ぐための「住まいの健康診断」
家も人間と同じで、定期的な健康診断とメンテナンスが必要です。早期発見・早期治療が、結果的に大きな費用負担を抑え、長く安心して住み続けることにつながります。
定期的な点検の重要性とチェックポイント
- 築年数に応じた点検:
新築から10年目、20年目、30年目…といった節目には、専門家による総合的な点検を受けましょう。特に、防水に関する保証期間が切れる10年目は重要です。
- 日常のセルフチェック:
雨漏りのシミがないか、壁にひび割れがないか、異音や異臭はないかなど、日頃から家の状態に意識を向ける習慣を持ちましょう。
- 点検すべき主な箇所:
基礎、外壁、屋根、床下、天井裏、水回り(配管)、給湯器など、専門的な知識が必要な箇所はプロに任せましょう。
信頼できる専門家の見つけ方
- 実績と経験:
地域の工務店やリフォーム会社で、長期的な実績があり、住宅のメンテナンスに詳しい会社を選びましょう。
- 資格と保険:
建築士や建築施工管理技士などの資格を持つ担当者がいるか、万が一の事故に備えて瑕疵保険や賠償責任保険に加入しているかを確認しましょう。
- 中立な立場の相談:
私のような中立な立場の一級建築士に相談し、適切な点検業者やリフォーム業者を紹介してもらうのも一つの方法です。
【元工務店社長のアドバイス】不安を安心に変える「備え」の第一歩
自然災害や家の老朽化への不安は、尽きないものかもしれません。しかし、大切なのは、その不安を漠然としたままにせず、具体的な「備え」へと行動に移すことです。
まずは、ご自身の家の現状を把握することから始めてみましょう。小さな点検からでも構いません。そして、その結果に基づいて、何が必要かを冷静に判断する。この「備え」の第一歩が、日々の暮らしに大きな安心感をもたらし、結果として心が「ととのう」ことにつながると信じています。
どんな些細な不安でも構いません。どうぞお気軽にご相談ください。私がこれまでの経験で培った知識を、惜しみなくお伝えさせていただきます。
まとめ ~ 安心感こそ、究極の「ととのえ」
住まいにおける「安心感」は、心地よい暮らしの土台となります。
地震や水害への対策、そして定期的なメンテナンスを通じて、わが家を「災害に強く、長く住み継げる家」へと整えることができます。
この安心感こそが、私たちの心と体を最も深く「ととのえる」力となるでしょう。
これからも、「ココカラととのえ間専科」では、皆さんの住まいに関する「モヤモヤ」を解消し、「心地よい」暮らしを実現するためのヒントをお届けしていきます。


コメント